速耳トレよもやまコラム

[04]速耳トレで脳力開発!?

 速耳トレーニングは速読とはまたひと味違う「もう1つの脳力開発」ということで、かなりお薦めです。しかし、それは本当に効果の上がる取り組み方をすれば脳力開発につながるというものであって、とにかく速い音声を聴いていればいいというものではありません。熱い心で自分を高める意欲を持ちながら、それでいて冷静に、科学的に考えていきましょう。

 
 SRRが提供している速耳マスターを初めとして、高速な音声を聴いて脳力開発に取り組もうというソフトは多数リリースされています。
 
 そもそもはSSI社の田中孝顕氏の「速聴が10分でわかる本超かんたん脳力開発法」(きこ書房)などの本がきっかけで「新しいタイプの脳力開発」として世間に認知されてきた脳力開発トレーニングです。
 
 しかし、この業界の悪いところ(というか、どこの業界も同じですが)科学的な検証をすることなく、根拠のない憶測で「これはすごい!」と煽りに煽って、イメージばかりを売っているのが現状です。
 
 「高速な音声を聴き取ろうとすることが、前頭前野を活性化させる」ということは、東北大学未来科学技術共同研究センター教授川島隆太先生の研究でも明らかにされています。この研究は2004年6月に開催された国際学会でも発表されており、アカデミックプレスの「NeuroImage Vol.22 supplement 1」に、その発表内容が収められています。
 
 この研究で明らかになったのは、耳で聞き取れる程度に高速再生された音声を聴くと、前頭前野が一生懸命に理解しようとし、その結果活性化するということです。
 どこぞの業者が煽っているような「耳で聞き取れない音声は左脳が処理しきれず、したがって右脳が活性化される」などということは、とりあえず現段階では科学的な根拠は全くありません。「12倍速」とか「10倍速」などのようにスピード狂の業者がやたらとありますが、何をもってそんなスピードに効果があると言っているのか教えて欲しいものです。
 
 「文章の内容を理解しようとする」からこそ前頭前野が活性化するのであって、文章どころか「何を言っているのかすら分からない」ような音声が脳を活性化させるなどということは考えられません。
 
 2003年だったでしょうか、某民放のテレビ番組で9倍速の音声を聞き取れるという人が出演していましたが、初めて聞く内容ではなく「ことわざ」を聞かせ、考える時間を与えた上で内容を答えさせるというものでした。
 これはすでに音声としての波形を失った「音」を聴き取って、その元となる言葉を「想像力で補って判断した」だけであり、脳力が活性化した結果とはとてもいえません。例えて言うなら、麻雀をやり慣れた人が親指で触っただけで牌の種類が分かる「盲牌」のようなものです。
 麻雀をやっている人が、親指の感触だけで何でも判別可能かといえば恐らく「否」でしょう。麻雀パイという限定された範囲の中でのことだから可能だと考えられます。
 
 テレビ出演していた彼も、初めて聞く文章を9倍速で再生して聞き取り、内容を理解したというのであれば、それはすごいことですし、おそらく脳はかなり活性化されているだろうと想像できます。しかし、音の断片から、限定された範囲の答えの中から推測しただけですから、「すごい」ことではあっても、だからといって脳が活性化されるという根拠にはなりません。まぁ職人芸がすごいのと同じで、それが実生活で何の役に立つの?というのと同じですね。
 
 周りに9倍速でしゃべる人がいれば役に立ちそうですが・・・。
 
 実際、脳の活性化という意味では「音声としてしっかりと聞き取れる」範囲のスピードである必要があります。そして聞いた内容を聞き流すのではなく、主語・述語のつながりを理解していかなければなりません。文章を断片的に聞くだけでは脳の活性化につながらない可能性が高いのです。(これについては、PHP研究所刊、川島先生の著書「朝刊10分の音読で脳力が育つ」、P.85~88を参照してください。)
 
 そう考えると、実は脳の活性化として有効なスピードは、せいぜい2~3倍程度のスピードと考えられます。しかも、そのことで活性化するレベルは「音読・単純計算と比べると低い」のだそうです。(ーー;
 
 とすると、私たちは「速耳トレーニング(ハイパーリスニング)」で脳力を活性化することを目指す場合には、「どれだけの速さで聞くか」ということよりも「どんな内容のものを聞くか」ということを考えるべきです。
 
 高速再生すれば、確かに脳力アップはできますし、集中して聴くことになります。ですから、聞いた内容が記憶に残りやすくなるのは確かです。だとすると、しっかりと理解し、体に染み込ませたい内容を聞くようにするといいですね。
 ちなみに私は自分で作った「営業マンは断ることを覚えなさい」と「がんばれ社長!今日のポイント」を2~3倍程度で繰り返し聞くようにしています。聞きながら「これは!」と思った内容はメモ帳にメモしておき、後でそれについてマインドマップを書いて発想を広げていくようにしています。
 
 取り組もうとしているトレーニングが「何を目的としたものか」ということをはっきりとさせ、その目的に応じた方法を採用するようにしましょう。(私の場合は、経営スキル、経営者ニューロンを高めるために聴いています。)もし「脳力開発」という漠然とした目的であれば、煽られ、のせられることなく、良質なコンテンツを(何でもいいので)用意して、毎日2~3倍速の無理のないスピードで聞くようにしましょう。
 
 速耳マスター2は、WMAファイルを初めとして様々なファイル形式を加速再生できますし、加速した状態で録音(エンコード)することもできます。例えば2~3倍速で音声を作って携帯プレーヤーで持ち運べば、どこでもいつでも、自分を高めるトレーニングが可能になります。リリースされたら、バージョン1ユーザーさんは無償アップデート(ソフト本体のみ)していただけますので、ぜひともこの機能を活用していただきたいと思っています。
 
 志熱く、それでいて冷静に、脳力開発を楽しんでいきましょう!Warm Heart, Cool Headと行きたいものですね!
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投稿者 てら : 2008年03月25日 21:14

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